死を連想させる花
喪中ハガキは挨拶文だけがシンプルに印刷されたものもありますが、椿の花が描かれた喪中ハガキを見かけるケースも多いのではないでしょうか。
お葬式といえば菊やユリを連想される方や、仏様といえば蓮を思い起こす方も多いと思いますが、なぜ、椿の花が描かれるのでしょうか。
これは、昔から続く日本人の伝統的な風流や心、文化が象徴されたデザインと言えるかもしれません。
椿の花は寒くて花木も凍るような時期に、春の訪れを継げるかのように雪の中で大きな花を咲かせる、美しい花です。
この椿の花には特徴があり、咲き終わりに近づくと、花の根元からポトリと落ちます。
綺麗な花の形状のまま落ちるわけですが、昔の人はこの様子を首がもたげて折れたようだと感じ、人の死を連想させたのです。
そのため、人が亡くなったことを知らせる喪中ハガキで椿がデザインされるようになったと言えるでしょう。
縁起の悪い花から死を暗に意味する奥ゆかしい表現モチーフに
かつては椿の花は縁起の悪い花とも言われていました。
テレビドラマや映画などの時代劇のシーンでは、絞首刑にあう残酷なシーンを映さない代わりに椿の花がポトリと落ちるシーンに演出する場合や、椿がポトリと落ちたのを見て家族が案じていると家人が襲われて殺害されるといったように、椿の花と死を連動させる演出も少なくありません。
確かに昔の時代には、椿の花が落ちるのは悪いことの知らせと考える風習もあったのでしょう。
ですが、今では日本人ならではの昔ながらの奥ゆかしさの象徴として、死んだことを明らかにすることや表現する代わりに、椿の絵や画像で死を伝えるといった風流さがみてとれます。
さすがに喪中ハガキでは挨拶文なしに、椿の絵だけ描くわけにはいきませんが、椿の花のように華麗に咲き誇り、人生の幕を閉じたということが伝わってくるのではないでしょうか。
喪中ハガキを受け取ったら
さて、喪中ハガキを受け取った側はどうすればいいのでしょうか。
亡くなられたことを既に知っており、葬儀に参列した場合や既にご挨拶などを済まされているなら、年賀状を遠慮する配慮で十分です。
一方、喪中ハガキを受け取って初めて知り、それなりに関係があるという方や、ご自身の側で不幸があった際にお香典などを頂いている場合には、なんらかのアクションが必要になります。
年末などの忙しい時期ではありますが、お電話やおハガキを送られて、ご遺族にお悔やみの言葉を伝え、お気持ちとしてお線香のギフトや
プリザーブドフラワーなどお供えできるものを贈ってみるのもおすすめです。